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「美味しいコーヒー豆を供給すること」だけではダメなんです。という話です。

この記事では、SSEのコーヒーをお使いいただけることになるパートナーと、どのように共同作業をしているかというひとつの例をご紹介します。もちろんSSEのコーヒー豆は安全で美味しいものですが、タイトル通り、それを供給するだけではダメなんです、ということをお話したいと思います。でも、それは何で? ちょっとお話が長くなりますが、どうぞお付き合いください。

先日、新たにSSEのコーヒーをご提供いただけることになりましたパートナーさんの店舗へ食事をしに行きました。4月にオープンを迎えたLe KUROというフレンチレストランです。(根津神社のそばにあります。住所は文京区弥生1-5-13です)

きっかけはオーナーシェフの「食事の後にもっと美味しいコーヒーを提供したい」という想いでした。そしてSSEのコーヒーを知り、ここならということでお声掛けいただきました。(非常に短く、端折ってお話しております)

オーナーシェフが一人でキッチンを切り盛りして、ソムリエがホールで忙しく立ち働くお店です。コーヒー専属のスタッフがいるわけではありません。その状況でどうするか、お店のオペレーションの中でどうやって最大限美味しいコーヒーを提供できるのか、相談させていただきながらオープンまでの少ない日程で銘柄の選定や抽出方法まで検討し、決定させていただきました。

現場でテストをさせていただき、シェフとソムリエに抽出したコーヒーを飲んでいただき、OKをいただきました。良い原料の供給はもちろんですが、それを抽出する機械の調整と、そのお店専用のレシピの設定もまた、僕たちの大事な仕事です。

そうやって出来上がったコーヒーと、LeKUROの料理がどのようなコラボレーションになるのか、ドキドキしながら食事をさせていただきました。

お料理は掛け値なしに美味しく、良い素材に惜しみなく手をかけたことがよくわかります。とても満足して、おなかもいっぱいになりました。そしてデザートが運ばれてきて、コーヒーの出番です。

コーヒーがどうだったのかは、皆さんそれぞれに感じ方が違いますでしょうから、ぜひLeKUROさんで確かめていただきたいなと思うのですが、ここではちょっと違う目線でのお話を結論とさせていただこうと思います。

ふだん僕たちはコーヒーの評価をすることが仕事の一部であり、コーヒーそのものがどうか、または抽出がどうだったか、ということはよく考えるのですが、考えたら普段の生活の中でのコーヒーは、レストランやカフェで、またはおうちの中で、お食事や甘いものといっしょに摂るということがけっこう多いんじゃないかと思います。そういったときにコーヒーが美味しいっていうことは、いったいどういうことなんだろうかと考えます。

コーヒーそのものの評価というのは、世界中で「これを基本にしようね」という方法がある程度定まっています。そしてその基準の中で、美味しかったりそうでもなかったりということが点数で決められたりします。

しかし、この日に食べた美味しい料理やお菓子のコースの食後に、と考えると、僕たちは冷や汗をかかざるを得ません。良い素材に惜しみなく手間をかけて一皿ひと皿つくられたこれらの料理に対して、ちゃんと見合うだけのコーヒーを出せているのか、ということです。

それは、料理が高ければ点数の高いコーヒー、料理が安ければ点数も安いコーヒー、ということではないということです。

コーヒーが美味しいかどうか、ということよりも、そのコーヒーがコースのおわりに出てきたときに、どういう役割を持って出されているかとか、お客さんが楽しんでコースをおしまいにできるか、というようなことです。何千円の料理、何千円のワイン(もしかしたらもうひとつ桁が上かも)を楽しんで、最後にコーヒーでおわる、そのコーヒーを僕たちは任されいてると考えると、怖くなります。

何か面白いオチがある話だったり、ためになる結論をご紹介できる話だったりはしないわけですが、こうやって冷や汗をかきながら、僕たちはパートナーさんたちに育てられているということなんです。

僕らの引き出しの中にフレンチレストランが無ければ、フレンチレストランにコーヒーはご提案できないわけです。

料理のジャンルで言えばイタリアンレストランの引き出しや和食の引き出しや、雰囲気で言えばカジュアルなカフェの引き出しや、高級料理店の引き出しや、食材で言えばお肉から野菜から穀物から、モノトーンから極彩色まで、クラシックからロックまで、いろんなシチュエーションや対象物に合わせていかないといけないわけで、コーヒー以外の引き出しを充実させていないとパートナーさんに選んでいただいたときに、その期待に応えられないぞと思うわけです。それは、店頭でコーヒー豆をお求めのお客様へもご提案の幅が広がるということです。コーヒー屋というのも大変です。

パートナーさんたちは、僕らにそれを気づかせてくれるので、大変にありがたいなあと思いますし、いろんなパートナーさんたちの邪魔にならないよう、迷惑にならないよう、少しでも役に立てるようにと考えて、コーヒーだけじゃなくいろんな勉強をしていかねばならないし、これからもがんばっていきたいなと思っています。

あ、ほんとにオチが無い。